概要
2m程度の距離で2人が向き合い、片方がボールを両手で下から投げ、もう片方がダイレクトもしくはツータッチで返す定番となっているサッカー練習メニューです。
人数
2~3人以上
1グループ通常2人、最大3人が基本です。
対象年齢
小学生低学年〇
小学生高学年〇
中学生〇
高校生以上〇
基本中の基本なので全年齢が対象です。
ただし小学生の場合は、最低限相手に届く程度のキック力があることを前提とし、飽きない時間を見極めて行いましょう。
この練習は最低限はできて欲しいコントロールではあるのですが、コントロールはともかくキックについてはあまり実戦で使用しない内容になってしまうので、初級者以外への採用は「定番だから」という理由ではなく意図を持って採用するか考えるべきでしょう。ただしヘディングについては実戦でも頻繁に使用するのでその限りではありません。
コーン配置
基本的に不要です。(応用については別途記載)
バリエーション① タッチする部位・タッチ数
☆インサイド
左右のインサイドキックを使用し、ダイレクトで返します。
☆インサイド2タッチ
左右のインサイドでコントロールし、ボールを落とさずに同じ足のインサイドで返します。
☆インステップ
左右のインステップキックを使用し、ダイレクトで返します
☆インステップ2タッチ
左右のインステップでコントロールし、ボールを落とさずに同じ足のインサイドで返します。
☆ももコントロール
左右のももでコントロールし、2タッチ目で返します。キックは問いませんが、左右もキック箇所もトラップの置き場所に狙いを持ってやりましょう。
☆胸コントロール
胸でコントロールし、2タッチ目で返します。胸にも左右中央があり、どこに当てどこに置くのか、すぐに落とすのか少しフワりと跳ね上げるのか、ももと同様に狙いを持ってやりましょう。
☆ヘディング
ヘディングで正面に返します。顎を引いて上半身を逸らし、基本を意識して額の中央で返しましょう。
☆ジャンプヘッド(正面)
ジャンプヘッドで正面に返します。基本はジャンプしない場合と同様ですが、2歩くらい助走をつけて片足で踏み切り、頭から足まで弓なりに身体を逸らせて強いボールを返しましょう。
☆ジャンプヘッド(左右)
特にシュートで使用することが多い横向きで打つヘディングです。サーバー側の足で踏み切り、逆足を後方に蹴り出すようにして反動をつけます。
☆ヘディング(クリア)
DFがクリアに使用するジャンプせず遠くに飛ばすヘディングです。前後に少し足を開いて腰を入れ、下から突き上げるように頭でボールを飛ばします。
バリエーション② ステップワーク
☆ステップワークを取り入れる
左右へのステップワークを取り入れます。

1m感覚でマーカーを2つ置き、キッカーはAB間を移動しA・Bの位置でボールを返します。
外側の足でけるのが基本ですが、ステップワークを鍛える為にあえて内側の足を使用するのも良い練習になります。
サーバーはキッカーのテンポに合わせSからボールをA・Bに向かって投げますが、3人組の場合はボールを2つ用意してC・Dに1人ずつ立ち、それぞれボールを投げましょう。
青森山田高校の基礎練習
青森山田高校の基礎練習で特徴的な部分をピックアップしました。下記の動画を参考としています。
☆近距離での基礎練習(開始直後~)
1m程度の近距離で基礎練習をしています。距離によるキック精度の向上よりも、反応とコントロール、リズム感を重視しているのでしょう。
☆スタンディングヘッド3種(0:30前後)
右足上げ・左足上げ・両足着地と3種のスタンディングヘッドをリズムよく行っています。足に特徴がありますが、ヘディングも基本通り芯を捉えきちんと正面へ返っています。
☆ジャンプヘッド&胸パス(0:40前後)
右足ジャンプヘッド→胸パス→左足ジャンプヘッド→胸パスと前後のステップを入れたジャンプヘッドのトレーニングをしています。胸パスは胸パスの練習というよりも、ステップワークきちんと行う為に入れているようです。
コツ
☆細かいステップを踏む
片足立ちでボールを待つのではなく、蹴る直前まで細かいステップを踏みましょう。このステップが癖になっているかどうかは試合中のボールコントロール精度にかなり影響します。
☆胸を狙いライナー性のボールを蹴る
サーバーの胸を狙って、山なりではなくライナー性の直線的なボールを返しましょう。
難易度プラスα
☆距離を延ばす
通常は2m程度の距離で行いますが、距離を倍程度まで延ばしてみましょう。その場合キッカーは通常以上にライナー性のキックを意識します。
☆強いボールを投げる
サーバーが下手から速いライナー性のボールを投げます。特にももや胸でのコントロール練習に有効です。
☆小さなボールを使う
リフティングと同様にリフティングボールや1号球を使用しましょう。
指導時のポイント
☆選手のレベルに合わせるように
上記の通りかなり応用の利く練習なので、選手のレベルに応じた方法で行いましょう。高校生以上であればやり方のみ指導し、選手が自身で練習レベルをコントロール出来るとより自主性が出ます。
☆実戦との乖離
ヘディングを除いてあまり実戦に通じないキックになるので、最低限のコントロールが身についたら他の練習に移行すべきという考え方もあります。とはいえ狭いスペースでの室内練習等でも採用できるというメリットもあるので、「定番の練習だからやる」「無意味だからやらない」という両極端な考え方をするよりは、チームの事情により採用の是非を考えるべきでしょう。