概要
パスをメインとしたパターンを学ぶサッカー練習メニューです。この練習に限らず1種類のグリッド配置で出来る複数のパターン練習をチームとして持っていると練習効率が向上し、試合中選手同士のイメージ共有も容易になる等多くのメリットがあります。パターンはいくつかあり図で書くと少し複雑ですが、実際やってみるとすぐに覚えます。
なお、全てのバリエーションについて左右逆方向も行います。
人数
5人~
1回が短時間で終わるので、1グリッド7、8人くらいまでは抱えられます。あまり場所も取らないので、人数とグラウンドの広さを考えて調整しましょう。
対象年齢
小学生低学年✕
小学生高学年△
中学生〇
高校生以上◎
ゲーム性が無い練習であり試合をイメージする難易度も高いので、小学生には不向きと思います。また、ある程度のパス精度が前提となるので、サッカー経験が2年以上かつ中学生以上くらいが目安になります。
マーカー配置
15m×10m程度のひし形を基本としますが、あくまで目安です。選手の技量やグラウンド事情によって調整しましょう。
バリエーション①
① aからスタート。AがBへパス、Aはそのまま前方へパス&ゴー。
② BがAへワンツーのイメージでダイレクトリターン、Bはcの横へラン、Bはcに並ぶ。
③ AはCへくさびをイメージした強いダイレクトパス、Aはパスと同時にCの右へプレスをかける。Aはbに並ぶ。
④ Cはトラップでプレスをかわしdに向かって持ち出す。
⑤ 最後にCはaに並んでいるEにパスしてaに並び終了。Cはaに並ぶ。Eはそのまま次ターンのAになる。
バリエーション②
① aからスタート。AがBにパス、Aは横に移動する。
② Bはマークを背負っているイメージで寄ってきたAにダイレクトリターン、自身もリターンで裏に抜けるように走り出す。
③ AはCに強いくさびのパス、Aはbに並ぶ。
④ Cは走り込んできたBにダイレクトパス、パス&ゴーでd方向へ膨らみながら走り出す。
⑤ BはCに斜めのパス、Bはcに並ぶ。
⑥ 最後にCはEにパス、Cはaに並び終了。Eがそのまま次のターンのAとなる。
バリエーション③
バリエーション③は①のパスを受けたBの判断により2パターンに分岐します。Dはbに並んでいる選手が務めましょう。
判断の要素を入れているのは、「オーバーラップはボールホルダーが前を向けるタイミングで仕掛ける」という原則をチーム内で統一する意図があります。
☆バリエーション③-1
① aからスタート。AがBにパス、AはBの状況を見てフォローに走る。
② BはDのマークがルーズなのを確認し前(c方向)を向く。それを見てAはオーバーラップのイメージで外を回ってパスを受ける。
③ Aは受けたボールを前方へ持ち出す。(Bはcに並ぶ)
④ AはCへパスし、フォローに走る。
⑤ Cはフォローに来たAへパスし、膨らみながらd方向へ走る。
⑥ Aは Cに斜めのパスを入れる。
⑦ Cはボールを前方に持ち出す。
⑧ 最後にCはEにパス、Cはaに並び終了。Eがそのまま次のターンのAとなる。
☆バリエーション③-2
① aからスタート。AがBにパス、AはBの状況を見てフォローに走る。
② BはDのマークがタイトなのを確認しDを背負った状態でAへリターンする。それを見てAはステップを踏んでスペースを作る。
③ AはCへ強いダイレクトパス、Bはマークを外してフォローに入る。(Aはbに並ぶ)
④ CはBにボールを落とし、膨らみながらd方向へ走る。
⑤ DはワンツーのイメージでCにダイレクトパス。
⑥ CはEにパス、Cはaに並び終了。Eがそのまま次のターンのAとなる。
バリエーション④
① aからスタート。AがBへパス、AはBから落としを受ける感覚で少し間を作る。
② BがCへダイレクトで強いパス、AはそのタイミングでCのフォローに寄り、Bはもう1つパスコースを作るイメージでフォローに入る。
③ CはダイレクトでAに落とし、パス&ゴーでd方向へ膨らみながら走り込む。
④ AはダイレクトでBに落としそのままc方向へ走り抜ける。(Aはbに並ぶ)
⑤ BはダイレクトでCへ斜めのパス。(Bはcへ並ぶ)
⑥CはダイレクトでEにパス、Cはaに並び終了。Eがそのまま次のターンのAとなる。
コツ
☆アウトサイドキックを積極的に使う
実戦において小さなスペースでパスを通したい時はアウトサイドキックが非常に有効です。対面パスを参考に、インサイドだけでなくアウトサイドでも強く正確なパスを蹴られるように練習しておきましょう。
☆細かく丁寧なステップを踏む
精度の高いプレイをするには細かなステップで身体の向きと歩幅を合わせることが重要です。蹴る寸前や膨らむ動き、ターン等、細部にこだわって練習しましょう。
☆緩急のある動きを
長い距離を走るシーンは無いので、やろうと思えば全てジョギングでも出来る練習です。しかし試合でダイレクトパスを繋げるには素早い動きでフォローに走る必要があるので、この練習でも止まった状態からパスが通った瞬間に素早くフォローに入る等、極端なくらいの緩急をつけましょう。緩急をつければ自ずと声を出すタイミングも掴めてくるはずです。
☆試合をイメージ
チーム内でのイメージを合わせる目的もある為、各々が自身のポジションも考えて実践をイメージしましょう。それだけでパスの強さやキックの種類が変わってくるはずです。
逆に試合では「今のは①のパスみたいなダイレクトプレイを狙いたかった」等、練習を意識した会話が出来るようになれば理想的です。
指導時のポイント
☆アレンジ自由自在
この項ではダイヤモンドパスを4種類紹介していますが、グリッド形状もパスの道順も応用の利く練習です。ここで書いた形にあまり拘らず、チームの戦術コンセプトに合わせてアレンジしてみましょう。ある意味「バリエーション③は、オーバーラップを多用するチームがバリエーション①・②をアレンジした練習」という言い方も出来ます。
☆定番練習として出来るように
アレンジは自由ですが複雑にし過ぎず、「次、①のパス」くらいの簡単な指示でグリッド準備から人数振り分けまで選手が素早く出来るようにしましょう。
ウォーミングアップも兼ねてサクサクと出来るくらいの練度になれば試合でも活きてきます。