小学生・中学生スポーツ選手の食事とプロテイン

 小中学生の食育については各種料理本や各教育機関の保険だより、自治体発行誌等で知識を得ることが出来ます。しかし小中学生スポーツ選手に特化した情報はなかなか手に入らず、特に自身のスポーツ経験があまり無い親御さんは何を食べさせればいいのか、「肉を食べたがるけれど肉ばかりでいいのか」、「ご飯をたくさん食べるけれどこんなに食べて太らないのか」といったように、お子さんの健康とパフォーマンスの為にどんな食事を用意すればいいか苦労しているのではないでしょうか。この記事ではそういった悩みに対し、細かな栄養計算等に頼らずあまり学問的にならないよう、出来る限り現実に沿って簡潔にまとめてみようと思います。

子供は何故沢山食べるのか

 まず子供、特に運動をする子供は何故沢山食べるのでしょうか。
大人が食事=栄養を必要とする理由は主に2つです。1つが回復、使った文の栄養やエネルギーを補充する為ですね。そしてもう1つが蓄積、今後使う栄養やエネルギーの補充です。つまり行動により使う分だけ食べればいいということになります。
子供はこの2つに加えて『成長』の分が必要となります。その為、一見すると大きな身体を持つ大人の方が多くの食事を必要としそうなところですが、実際は中学生~高校生くらいをピークに食事の量が非常に多くなるということです。

ベースは家族の食事、家庭の食事

 この記事は『小中学生スポーツ選手の食事』と銘打ってますが、現実的にそこだけをクローズアップは出来ません。何故なら子供は基本的に両親と同じものを食べているので、子供の食事を見直すのであればまず見直すべきは家族の食事ということになります。そこでまず大前提として、家庭の食事が親(大人)基準で十分な栄養を確保出来るようにして、そこから子供に不足する栄養を継ぎ足すように心がけるのがポイントです。また、食育としても出来る限り家族が同じ食事を取ることが好ましいですね。
例えば朝ご飯、忙しい大人は省略しがちですが食べていますか?
小中学生スポーツ選手が必要とする栄養量を昼夜の2食で確保するのはほぼ不可能です。朝食を抜くと勉強への集中力も上がりません。子供に間違った習慣を植え付けない為にも親が率先して朝食を取るようにしましょう。
夜は晩酌のお供で味の濃いおつまみだけにしていませんか?
おつまみは塩と油の強いものが多く、本来必要な栄養が不足する原因になります。晩酌を止めろとは言いませんが、あくまで食事は食事としてきちんと取るようにしましょう。
子供は親の食習慣を写す鏡ですし、好き嫌いについても親が美味しそうに食べているものは子供も安心して口に入れるものです。まずは大人基準で十分な食事を用意するところがスタートです。

子供が増やすべきは炭水化物とアミノ酸

 大人基準での食事が用意出来るようになったらここから子供の為の食事について本格的に考えていきます。まず果物や野菜については基本的に大人基準で大丈夫です。細かいことを言えば栄養素毎に大人と子供の摂取目安量に差はありますが、この記事を読んでいるのは細かな栄養を毎日計算するような方ではなく、現実的に毎日の食事に取り入れられる知識を必要としている方だと思いますので、ここではビタミンや食物繊維を中心とする野菜・果物類から得られる栄養は大人基準でヨシとします。
ではビタミン等は大人と同じように取れば良いとして、子供が優先すべき栄養は何なのか。それがアミノ酸と炭水化物です。

まず最重要なのがアミノ酸です。これはアミノ酸が前述の『成長』に最も必要な栄養素である為で、特にスポーツに勤しむ子供は大人とは全く違う量が必要となります。アミノ酸が多く含まれるのは肉と魚、大豆製品です。

そしてもう一つ重要なのが炭水化物ですね。炭水化物は身体を動かすエネルギーになりますが、これが不足すると身体に蓄えたアミノ酸をエネルギーとして消費してしまう為にアミノ酸が不足することに繋がります。つまりアミノ酸を成長や回復に存分に使う為には十分な炭水化物が必要になるということですね。炭水化物が多く含まれるのは言うまでも無くお米や麺類、パン等の主食です。

炭水化物はおかわりで対応

 では実際にアミノ酸と炭水化物が多く必要ということを踏まえ、子供の食事量について考えてみましょう。まず炭水化物を増やすのはそこまで難しくありません。これは単純な話で、ご飯を沢山炊いておかわりして貰えば良いからです。子供が複数いる家庭等では大変かもしれませんが、おかずを増やすよりはよっぽど楽で経済的なので、まずご飯を十分炊ける環境を整えましょう。麺やパン等の小麦粉製品も炭水化物を多く含みますが、米は炭水化物以外の栄養に優れており食物繊維によって腹持ちが良く、日本人の体質にも合っています。従って、アレルギー等特別な事情が無い限り毎日の主食はご飯を中心に組み立てた方が良いかと思います。
1つ実用的な炊飯器の例として安価な5.5合炊きの炊飯器を紹介しておきます。
炊飯器は良いものを選べば美味しいご飯を炊けるようになりますが、耐久性が上がる訳ではありません。特に毎日、場合によっては1日に複数回使用するようなスポーツ選手の家族だと毎日釜を洗う度に表面加工は摩耗し、米がベタベタくっつくようになりQOLが著しく低下します。
であれば味に拘って高い炊飯器を購入し釜がベタベタで扱いにくくなっても「高かったから」と後生大事に使うよりも、安い物を使い潰すつもりで購入し状態が悪くなったら買い換えるくらいの方が結果的に家計や家事を助けてくれるのではないでしょうか。食事の用意は毎日続くことですから、手間とコストパフォーマンスは重要です。
ちなみに良い炊飯器で炊くご飯は確かに美味しく特に冷凍にすると差が出るので、1人暮らしで週に2,3度炊いてあとは冷凍で済ませるような場合には少し味に拘った炊飯器の購入をお勧めします。


アミノ酸は手間を省いた+αで

 問題はアミノ酸です。アミノ酸が多く含まれる肉や魚は主菜に使用することが多いですが、家族全員分と考えると大量に作るのはかなり手間ですし、材料費もバカになりません。子供の為に1品多く作るのも同様ですね。子供の、特にスポーツをしている子供の為の食事はここでの工夫がポイントになります。
そこでアミノ酸の補充は、出来る限り手間を省いた+αを考えましょう。
まずお勧めは納豆です。納豆は1パック30円程度で入手出来、重量当たりのアミノ酸含有量は鶏もも肉と同じくらいです。手間もパックのまま食卓に出して子供が自分で混ぜて準備すればいいので簡単ですし、非常にお手軽ですね。
それから缶詰も良いですね。焼き鳥等の肉類も良いですが特筆すべきはツナやサバ等の魚缶で、納豆同様にアミノ酸以外も含め非常に栄養が豊富です。缶詰は蓋を開けて油を切るだけで後は醤油やマヨネーズで味を付ければ良いので、こちらも非常にお手軽ですし納豆程ではないものの安価です。
ここで挙げた2つは手抜きに見えるかもしれませんが、『毎日の』食事で手間を増やすのは現実的にかなりの負担となります。もちろん主菜を沢山用意したり品数を増やしたり出来れば子供にとって100点かもしれませんが、毎日のことですから続かない100点より続けられる60点を目指しましょう。どこかで切れて0点になるくらいなら、合格点ギリギリでも続けられる手段を選択するべきです。
缶詰は日常の買い物で用意すると重いので、通販で簡単に済ませてしまうのがお勧めです。下記にいくつか例を紹介します・

まず焼き鳥缶です。大体1缶100円を少し上回るくらいですね。

それから魚缶はこの辺りでしょうか。

本当は応用の効くサバ水煮缶を紹介したかったのですが、最近は値段が上がっていて毎日食べるにはちょっと高級です。

親の食事量に注意

 最初に書いた通り子供は成長の為に大人より多くの栄養を必要としています。しかし食卓に子供の為の食事が豊富に並んだとしても大人がつられて食べるのは避けるようにしましょう。これは当たり前のように感じるかもしれませんが、子供に付き合って太ってしまう親御さんは非常に多いです。特に多いパターンが、小さい子供の食べ残しを日常的に食べていた延長で育ちざかり食べ盛りの時期も子供と一緒に食べてしまう親御さんですね。子供と違い成長せず代謝も落ちていく年齢なので、驚くほど簡単に太ってしまいます。あえてここで書くことではないのかもしれませんが、親御さんはくれぐれもお身体を大事になさってください。

アミノ酸が不足するならプロテインも選択肢に

 先程お勧めした+αの食事をしたとしても子供が必要とするアミノ酸を3食で完璧に取るのは簡単ではありません。「我が子の為だから」と家計や料理の手間への圧迫に耐えたとしても無理をすれば長続きしないのが現実ですし、万一その苦労を子供に愚痴るような事態になれば親子関係に傷をつける可能性すらあります。そこで活用していきたいのがプロテインです。プロテインは「筋肉をつけるもの」という印象に「筋肉がつくと身長が伸びなくなる」という印象が組み合わさっており敬遠する親御さんや指導者が多いようですが、プロテインは薬物の類ではなく言葉の直訳通りたんぱく質(アミノ酸)のことです。つまり肉や牛乳、大豆製品の延長として考えられ、小中学生が摂取しても全く問題有りません。むしろ身長を延ばすにもアミノ酸が非常に重要なので、不足することにもっと危機感を持つべきだと思います。
量についてですが、取り過ぎると内臓への負担が上がるということもあるようなので注意が必要です。ただ個人的な印象としては、プロテインも一定の満腹感がありますし過剰摂取になる量を食事と合わせて摂取するのは結構大変だなと感じています。余程食べる子なら注意が必要になりますが、1日1~2杯の摂取が問題になることはあまり無いでしょう。
一応摂取量の参考となるURLを貼っておきます(参考サイト)。リンク先にあるように体重により必要量は異なるので、定期的にどの程度の量が目安となるか計算してみましょう。これを教育として活用するのであれば、プロテインを買い与えるタイミングで子供自身に計算させるのがベストですね。

プロテイン接種のタイミング

 結論から言うと、プロテイン摂取のゴールデンタイムは朝・運動前・運動後・寝る前の4つです。それぞれ利点が異なります。

まず朝ですが、アミノ酸には集中力を高める作用があるので、学校の勉強への好影響が期待出来ます。特に朝は食欲が出ず小食になってしまうという子には有用です。3食で1日分の栄養を得ようとした時にどうしてもネックになる朝の栄養補助としてプロテインを使用するということですね。特に朝練等がある場合は後述の運動前と合わせて二重の意味で効果に期待出来ます。

運動前の摂取はパフォーマンスのアップと成長の2つで有用です。運動による成長ホルモンの作用に対し事前のプロテイン補給が有用とされており、筋肉の回復と成長にアミノ酸が効果的に作用します。

運動後の摂取は運動により壊れた筋肉細胞を回復するのに大量のアミノ酸を消費するので、その為の栄養補給として有効です。スポーツ選手にとって最もメジャーな摂取タイミングですが、学校に通うことを考えると小中学生が運動直後効果的にプロテインを摂取するのは少し難しいかもしれません。

寝る前の摂取は寝ている間にピークを迎える成長ホルモンの分泌に成長に必要なアミノ酸を合わせることが出来るので効果に期待出来ます。大人でも効果に期待出来るタイミングですが、特に子供は回復と成長両方に大量のアミノ酸を消費するので有用性がより高まります。

プロテインを導入するのであれば家庭や体質により上記のタイミングから1~2回程度を選択するのが良いでしょう。特に寝る前の摂取は個人差があり、「空腹だと眠れない」子には有用な反面、「胃腸が動いてると眠れない」というタイプには逆効果になることもあるので注意が必要です。ただスポーツで疲れていれば眠れないことは稀であるかと思います。

お勧めのプロテイン

 メーカー等のホームページでは様々な栄養が配合された国産プロテインを紹介していることが多いかと思いますが、前述の通り家計負担や手間の軽減が目的なので値段に対して内容量もアミノ酸含有量も少ない国産プロテインはここでお勧めするには不適と考えます。ここではあくまで現実的に、アミノ酸以外の栄養は食事で確保すると割り切り、アミノ酸含有量が多く、更に購入回数を減らす為に内容量も多い、その上で出来るだけ価格帯の低いコスパ優先のプロテインを紹介しておこうと思います。

内容量が多くコスパが良いプロテインとなると、下記のゴールドスタンダードのプロテインが良いかと思います。

それから初回は忘れずにシェイカーも買いましょう。
粉だけを持ち運び現場で水を入れることもあるので、蓋がしっかり閉まって目盛りがついているものが便利です。


最近のプロテインは随分と溶けやすくなっていますが、スプーンだけで溶かすのは困難です。
水よりも牛乳や豆乳の方が味は美味しく飲めますが、シェイカーを使用しても水よりダマが残りやすいのでお好みや状況に合わせて使用してください。

まとめ 手間と出費を抑えて続けられる食育を

 ここまで出来る限り簡潔に、学問的にならないようにとまとめてきましたがいかがだったでしょうか。専門知識のある方からすると抜けがあるかもしれませんが、食事は毎日続くものであり、毎日無理なく考えるにはこの程度が限界かと思います。勿論毎日栄養計算をして完璧なバランスの3食を用意出来るというのであれば100点ですが、毎日続くことに対して1度の100点には大した意味はありません。毎日確実に合格点を取る為の方法として、今回の記事が参考になれば幸いです。

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