サッカーの体力・フィジカルトレーニング③『ハイパワー』

 今回は以前の記事で書いたローパワー・ミドルパワーに続いてハイパワーついて、詳細と代表的なトレーニングを書いていきます。
ハイパワーを含む体力・フィジカルの分類についてはこちら
ローパワーについてはこちらを
ミドルパワーについてはこちらを

ハイパワーの特性

 まずおさらいです。ハイパワーとは別名『無酸素系』とも呼ばれ、瞬発力を表します。サッカーで言えばキック力やジャンプ力、短距離のスピードですね。ステップワーク等の身体を動かす技術で最終的な出力がかなり上下する為にハイパワーを身体能力だけで計測するのは困難ですが、これをあくまで身体能力として捉えるのであればハイパワーはほぼ『筋力』と言い換えられます。

トレーニングにおけるハイパワーとミドルパワーの混在

 ミドルパワーの記事を読んで頂いた方は勘付いているかもしれませんが、多くの人が「足が速くなる」と思っている練習は実はミドルパワーのトレーニングです。勿論ミドルパワーのトレーニングでもある程度ハイパワーへの効果はありますが、ハイパワーを集中的に鍛えるにはもっと高負荷短時間でのトレーニングが有効です。自重で高負荷短時間のトレーニングも不可能では有りませんが、ウェイトやチューブ等の機器を使う方が効率的ですね。

ハイパワーのトレーニングは身長の伸びが落ち着いてから

 競技としてスポーツに触れてきた多くの方は「機器を使用したトレーニングは身長が伸びなくなる」という話を聞いたことがあるでしょう。結論から言うと私が知る(調べた)限り、これに科学的根拠はありません。ですが、身長と筋力が無関係というわけではありません。因果関係が逆なのです。
「身長が伸びている間は筋肉がつきにくい」
これが本来の因果関係です。
例えとして私の経験を書いておきましょう。
私は中学高校と新体力テストを受けていましたが、小学校卒業時の身長が149cmでした。
そして中学1年時の利き手握力が20kgです。弱い。
続いて中学3年時の利き手握力が24kg、継続的にサッカーをやっていたにも関わらず2年間で僅か4kgしか伸びていません。
しかしここから高校1年時、身長は172cmになり握力は40kgになりました。
新体力テストは春に行われるので、丸3年で身長が23cm伸びたということになります。
そして2年で4kgしか伸びなかった握力は、1年で16kg伸びています。
この後高校3年で176cmまで身長が伸び最終的に178cmで身長が止まったことを考えると、最も身長が伸びた時期は殆ど筋力が伸びておらず、身長の伸びが落ち着く頃一気に伸びたことになります。特に鍛えようとはしていない握力がこの数字ですから、当然鍛えている脚や体幹は見た目からして大きく変わりました。
あくまで一般男性の一例ではありますが、成長期の身長と筋力はこのくらい極端なことになるということです。
成長期のウェイトトレーニングが成長に悪影響を与えることがないにしても、非効率な筋トレをするくらいならフォームやステップワーク等といった身体を使う技術を鍛え、筋トレで疲労しない分の時間をボールタッチに費やす方が効率的ということになりますね。
ウェイトトレーニング開始のタイミングは身長や筋力(握力)の数字と相談しながらにしましょう。また、器具を使用したトレーニングは無理をすると関節への悪影響が懸念されます。負傷で済めばまだしも、程度によっては傷害として長く苦しむことになる可能性もありますので、怪我や成長痛等で違和感や痛みがある時は絶対に避けましょう。

ハイパワーのトレーニング

 筋トレです。終わり。
というのは流石にジョークですが、実際高負荷短時間のウェイトが効率的です。高負荷の目安ですが、多くても8~10回くらいしか繰り返せないくらい大きめの負荷にしましょう。それ以上の回数を出来る程度の軽い負荷だとハイパワートレーニングとしては不足ですね。ただしそれ以上の回数を出来るトレーニングもミドルパワー・ローパワーのトレーニングとして有用なので、目的により負荷と回数を調整します。

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