サッカーでの怪我、病院(整形外科)と整骨院(接骨院)どっちに行けばいい?

 サッカーをやっていれば避けられないのが怪我です。練習中や試合中に負傷した時、特に捻挫や肉離れ等といった筋肉・靭帯の損傷時に病院と整骨院どちらが有効なのか迷う人が多いようです。なので今回は病院と整骨院の違いと使い分けについて書いていこうと思います。

病院(整形外科)と整骨院(接骨院)の大まかな違い

 怪我や傷害への対応という意味で同じような役割に見える病院と整骨院ですが、最も大きな違いは何でしょうか。簡単に言ってしまえば「見る」のが病院、「治療」を助けるのが整骨院です。まず病院の「見る」というのは、診断するということです。対して整骨院は、負傷箇所に外的なアプローチをして治療を早めたり、再発を防止したりします。サッカーを続ければどうしても付き合っていくことになる怪我によるダメージを少しでも抑えるには、これらの特性を理解して適切に使い分ける必要があります。

診断は病院でしか出来ない

 負傷時に応急処置を終えた後、まず必要なのは診断です。診断とはどんな怪我なのか、何という怪我なのかを知る必要があります。明らかに軽傷であったり、以前同じ怪我をしたことがあれば診断は不要となりますが、痛い理由が明確でない場合は基本的に1度病院で診断を受けましょう。

☆学校で怪我をした場合
 中学校や高校の部活動中等、学校で怪我をして病院で診断を受ける場合は保険により治療費が戻ることもあります。顧問の先生に制度を確認し、適切な対応を取りましょう。例えば部活動中に捻挫をして湿布とテーピングで対応した場合それらの代金は自費となりますが、整形外科で診断を受けて出された処方箋でロキソニンテープを貰った場合は保険から代金が戻ってくるということもあります。

☆診断により整骨院での治療がスムーズに
 整骨院で診断は出来ません(負傷箇所の推測はしてくれます)が、負傷箇所が明確になっていると整骨院での対応も決まりやすいので治療をスムーズにスタート出来ます。

病院へ行くべきケース、整骨院を困らせてしまうケース

 サッカーでの負傷のうち、下記のケースでいきなり整骨院に行くと有効な治療手段を取れず整骨院を困らせてしまうので注意しましょう。

☆重傷の可能性がある
 靭帯損傷等、重症の可能性がある場合は必ず病院で処置と診断を受けましょう。後述の骨折も同様ですが、レントゲン検査やMRI等の精密検査は病院でしか出来ません。このような重傷で初期対応を誤ると、長く障害に苦しむことになる可能性もあるので、休日でも深夜でも必ず可及的速やかに病院へ行きましょう。

☆骨折の可能性がある
 整骨院で全く患部に触れないケースの1つです。骨折は下手に触れば悪化する可能性があり痛みも強いので、整骨院では病院を勧めることしか出来ません。腫れが酷い場合や、前後の関節が痛む場合は特に骨折が疑われるので、必ず病院での診断を受けましょう。1度診断を受け骨折でないことが確定すれば、整骨院での対応も可能です。

☆出血がある
 これも整骨院で患部に触れないケースです。出血した個所に触ってしまうと一度出血が止まっていても再出血してしまったり、雑菌が入ってしまうことがあるので治療出来ません。打撲や捻挫との同時発生だとしても塞がっていない傷があるうちは傷の治療を優先して、整骨院での受診を控えましょう。勿論出血が多かったり傷が大きい場合は病院での処置を受けましょう。

☆交通事故に遭った場合
 サッカーでの負傷とは少し違いますが、遠征等で交通事故に遭った場合は保険の適用や相手への請求で診断が必要なので、必ず1度病院での診断と処置を受けましょう。ただ勘違いしてほしくないのですが、交通事故後のむち打ち等に対しては整骨院での治療が有効であり、あくまで手続きとして病院に行き、診断書を貰う必要があるということです。特に学校での活動中(部活動等)に起きた事故では手続きが複雑になることもあるので注意が必要です。

☆処方箋が欲しい時
 薬や湿布等が欲しくても整骨院では処方箋を出すことが出来ません。特に首や腰の負傷では重傷でない限り痛みさえ無ければプレイ出来るので痛み止めが欲しくなることもあるでしょう。その場合は病院で診断を受け、処方箋を発行してもらうことで安く鎮痛解熱剤や湿布が手に入ります。特にロキソニンテープは有用なので、必要とあらば活用したいところです。病院によっては通う意思が無いことを説明することでそれらを多めに出してもらえることもあるので、医師と相談してみましょう。

病院は怪我で『通う』場所ではない

 病院では診断は出来ますが、マッサージ等継続的な治療はしてもらえません。無理をしなければ負傷箇所が増えたり移動したりすることは無いので、基本的に1度診断を受けたら病院へ長く通う必要はありません。診断がハッキリしたら回復を待つか、整骨院での治療に切り替えましょう。

特に整骨院が有効なケース

  冒頭で治療を早めたり、再発を防止するのに効果的と書きましたが、特に整骨院が有効なケースについていくつか挙げておきましょう。

☆期日がある場合
「怪我をしてしまったが、〇日後の試合は重要な大会なのでどうしても出たい!」
「〇日の試合が現役最後になるから、多少無理してでも出場したい!」
選手経験者や指導経験のある方はよく分かると思うのですが、こういった期日の決まった怪我は少なくありません。整骨院では電気治療やマッサージにより治療を早めたり、テーピングの技術に優れた技師を抱えているので期日に合わせた治療を行うことが可能です。そういう場合は整骨院できちんとその旨を相談すれば、「試合前日まで週〇日通って、前日は固めにテーピングをしましょう」といった提案を受けられます。最近は特に学校や駅の近くだとスポーツに重点を置いた整骨院も見かけるので、チームのコーチや顧問、先輩に行きつけの整骨院があるか聞いてみるのも良いですね。

☆再発を繰り返している場合
 病院での診断が不必要なくらい同じ個所を何度も痛めている場合には整骨院で相談するのが有効です。慢性化の原因や対策について詳しくアドバイスを貰い、治療と自宅での対応で後の再発を抑えられる可能性があります。

☆競技を続けながら治療したい場合
 負傷による競技への影響が低く、競技の練習を続けつつ治療したい場合にも整骨院へ通うことをお勧めします。練習を続ければ当然疲労しますが、疲労は身体のバランスを崩すので自身が思っている以上に患部へ負担をかけてしまいます。そういう時に整骨院では怪我の治療と併せて疲労を軽減するマッサージをしてくれるので、患部の負担軽減や怪我の早期回復に役立ちます。

重傷からの復帰を目指す場合は病院のリハビリセンターへ

 これまで書いた通り診断は病院、治療は整骨院が基本の流れですが、怪我の治療でも病院に通うべき例外があります。それが重傷からの回復を目指すときです。靭帯損傷や骨折等の場合は回復の経過を医師が確認する必要があり、リハビリの計画も医師が中心となり進めることになります。その時に医師への相談無く整骨院に通ってしまうと正確な治療の状況が分からなくなったり、場合によっては悪化してしまう可能性もあるので、リハビリと並行して整骨院を使用する場合でも必ず医師と相談しながらにしましょう。
基本的にはマッサージもリハビリ(可動域・筋力の復旧)もリハビリセンターで行われるので、余程行きつけの整骨院がある場合でもなければリハビリセンターに任せてしまって大丈夫です。

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