ゾーン・エリアの呼称① アタッキングサード

 サッカーにおけるピッチのゾーン分けについての記事です。この記事では『アタッキングサード』について記載します。

前・中・後3つのゾーン

 サッカーのピッチを区切る方法の1つとして、前線・中盤・後方を3分割する考え方があります。このうち前線を『アタッキングサード』、中盤を『ミドルサード』、後方を『ディフェンシブサード』と言い、それぞれに違った特性を持ちます。今回の記事ではこの3つのうち『アタッキングサード』について書いていきます。

50・70・100とは

 サッカーでよく使用する50・70・100という3つの数字を用いた言葉があります。これは3つのゾーンで目指すべきプレイの成功率を示しており、それぞれアタッキングサードでは50%、ミドルサードでは70%、ディフェンシブサードでは100%の成功率を目指すというものです。
しかし当然のことながら実際のプレイ中に成功率を考えてプレイするようなことは無く、選手は全てのプレイを成功させたいと考えて行うでしょう。なので50・70・100は言葉として理解しつつも、より感覚的に理解しておく必要があります。

アタッキングサードでの『50』を感覚的に捉えると

 前述の通りアタッキングサードで目指すべきプレイ成功率は50%ですが、全て成功率50%程度のプレイを目指そうということではありません。選手の感覚としては、「成功すれば得点に繋がるプレイにチャレンジする」ということです。つまり、『1人躱せばラストパスを出せるから1vs1を仕掛ける』、『完璧なトラップをすればシュートを打てるから強いラストパスを刺し込む』といったリスクのあるプレイにチャレンジするということですね。逆に言えばアタッキングサードであっても、勝負を避けたバックパスや、フリーでトラップミスをしていいということにはなりません。五分五分で失敗するプレイにチャレンジするのではなく、シュートをに至るべく必要であれば逃げずにチャレンジし、結果として半分程度は失敗に終わっても良いということです。

FWにとってのアタッキングサード

 ここからは各ポジション毎の考え方について書いていきます。
まずFWについてですが、当然ながらFWはアタッキングサードで何を出来るかが直接評価に繋がります。特に重要なのがシュートから逆算するプレイです。アタッキングサード内は中央のゴール付近ならシュートを、それ以外ならラストパスを狙えるポジションですが、多くの場合は相手選手が障害になりすぐにシュートやラストパスを狙うことは出来ません。そういう時に、どうすればシュートに持ち込めるのか、どうすればラストパスを出せる状況になるのかを出来る限り最短距離で選択する能力が重要になります。
まずはシュートを狙う、次にラストパスを狙う、次はラストパスに繋がるプレイを狙う…と、ゴールへの最短距離を導き出せるよう頭をフル回転させてプレイするようにしましょう。相手を抜きにいくドリブルも積極的に狙って良いエリアですが、あくまでシュートを目的としてそこに至る手段の1つがドリブルなのであって、相手を抜くことが目的にならないよう注意が必要です。

MFにとってのアタッキングサード

 MFのアタッキングサードでの振る舞いは、FWと大差ありません。逃げずに必要なチャレンジをし、シュートに至る道程を意識してプレイします。ただFWと比較して注意すべきなのは、アタッキングサードとミドルサードの境界付近でプレイする場合です。境界と言ってもピッチに線が引いてある訳ではありませんが、当然ながらボールが低い位置にある程に奪われた時のリスクは上がります。なのでMFはバックパス等でボールを受けた時にはあまり50%に捉われず、ミスしないプレイを心がけることも必要でしょう。また、FWはポジション柄シュートに意識が行き過ぎてしまうことも多いので、相手の守備が整っている時は確率の低いプレイに偏り過ぎないようコントロールすることもMFの大切な仕事です。総合して、チャレンジの機会を常に伺いつつリスクの調整を行うのがアタッキングサードでのMFの仕事となります。

DFにとってのアタッキングサード

 FWとMFに比べて、DFにとってのアタッキングサードは少し毛色が違います。シンプルに言えば、原則としてシュートかラストパスで終わるようにすべきです。
DFがアタッキングサードに飛び込むということは大きなリスクを負って最終局面を崩す段階のはずであり、インターセプトで攻撃を終えてしまうと飛び込んだDFの裏を取られカウンターを浴びてしまいます。なので基本的にはカットされても綺麗に奪われる危険の少ないシュート、あるいはラストパスで終わるようにしましょう。また、ボールを受けた時だけではなく、もしボールが出て来なかった時にはすぐにDFとしてポジションを取り直すのも大切なことです。

アタッキングサードを意識したトレーニング

 アタッキングサードでの動きが向上するトレーニングの代表例を挙げておきます。

シュートゲーム
 ペナルティエリア近辺でシュートで終わる攻撃を前提としたトレーニングです。ポジション問わずアタッキングサードでシュートから逆算するプレイの練習になります。

ゾーン分けゲーム
 アタッキングゾーンへの侵入に特化したトレーニングです。数的優位を作れる位置やタイミングを学べます。
 

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