練習を読み解く(川崎フロンターレ:2023/1/9)

 新しい企画として、Jクラブの練習動画から練習の内容を紹介し、意図を考察していきたいと思います。公式から公開されている範囲に限るので内容は限定的になってしまうかもしれませんが、練習内容から首脳陣の意図やチームとして何を課題と考えているのか、どう向上を目指しているのかを少しでも読み取れたらと思います。基本的には私が応援する川崎フロンターレと、縁あってここ数年の経過を知っている湘南ベルマーレが中心になると思いますが自身の勉強も兼ねているので、実現出来るかは別として時間が許せば他のチームの練習も見ていきたいとは思っています。

【始動。】2023_川崎フロンターレ_麻生G_練習レポ_1月9日

挨拶

 始動日ということで挨拶からスタート。おそらく怪我の無いように徐々に上げていこうという声掛けがあったと思われます。

4![1:35]

 ウォーミングアップ中にコーチから「4!」の声がかかり、選手は急いで4人組を作ってしゃがみました。最後に残ってしまったメンバーには軽い罰ゲームを与えています。ウォーミングアップは楽をしようと思えばいくらでも楽を出来てしまうので、気が抜けやすい年始の練習で集中力を切らさないようにという工夫ですね。
「30!」の時に「2人どっかやれ!」と言った酷い人は誰でしょうか。

目隠し手繋ぎリレー[2:25]

 お座敷遊びのような練習です。2人組で目を隠して手を繋ぎ、ボールをバトン代わりにスイカ割りの様な要領で味方の声を頼りにコーンを回って帰ってくるリレーです。フィジカル面の負荷は微々たるものですが、新加入選手を交えた始動日なので、ウォーミングアップから意識的にコミュニケーションを引き出すようメニューを組んでいるのではないかと思います。

グリッド無し4vs1[4:33]

 運動量が要求されるグリッド無しでのロンドをダイレクトパスのみで行っています。全てダイレクトでの素早いパス練習はフロンターレの定番ですが、今回グリッド無しを採用したのは始動日の序盤ということもあって念入りに身体を温めようとしていたのではないかと思います。

6vs4パスゲーム[5:22]

 グリッドの片側にミニゴールを設置し、オフェンス(6人)側がパスを20本以上回したらシュートOKというルールですね。数的優位でしっかりとフリーマンを探して速く正確なパスを通すというロンドの基本に加え、ゴールという要素を入れることでゲームに「向き」を追加しています。始動日なのでそこまで深い戦術意図があるとは思いませんが、守り固めた相手に素早くボールを動かして意図的に隙を作るという風間監督以来のフロンターレらしさを象徴する練習と感じますし、始動日にしてこのパススピードが出るというのはやはり身体に染み付いているということなのでしょう。実際動画を見ていて、タッチ数制限が無いにも拘わらず大半のパスがダイレクトで繋がっていることは特筆に値すると感じます。

ゴールキーパー練習[6:42]

 GK練習のまとめページでも記載しましたが、公開練習の動画にほぼ毎回GK練習を入れてくれるのは川崎フロンターレの良いところです。最初にやっているキャッチング練習は非常に基礎的なものですが技術の差が出るそうで、例えば川崎F在籍時の川島あたりはこういった両手キャッチで音が「パン!」と1度しか聞こえなかったそうです。ボールを両手の中心で確実に捉えていたということなのでしょうね。動画でも分かるかと思いますが、大抵の選手はどうしても「パパン!」と僅かに左右の手がズレてボールに当たります。そういう目線でこの動画を見ると上福元も技術のあるGKですが、ソンリョンのキャッチング技術がかなり高いのだと分かりますね。

縄跳び[7:48]

 見た時に驚いた練習です。大縄なんて持ってるんですね… 目隠しリレーと同じく、一番の目的はコミュニケーションでしょうね。ソンリョンとシミッチが苦手そうにしていましたが、高身長も理由の一つでしょうか。もしかしたら海外出身選手はあまり縄跳びの経験が無いのかもしれません。

L字パス[8:57]

 今ではすっかり有名になった川崎フロンターレの代名詞とも言える練習です。他チームから移籍してきた選手は口を揃えて「コレが出来るようにならないと試合に出られない」と言い、自主練習で若手や新加入選手が最も力を入れるメニューでもあります。この日はダイレクトリターン・2タッチで逆へというリズムでやっていますね。このボールタッチが最も上手いのは僚太と泰斗ですが、チャナはボールタッチでは及ばないものの身体の捌きが素早いので上手さ以上にスピード感があります。

ミニゲーム[10:24]

 ミニゲームです。終始楽しそうですが、選手感の距離がかなり近くコンパクトな中でボールを動かしているのが分かります。

ランニング[11:00]

 ペースは3~5割程度だと思うのですが、本数や時間が分からないので内容を断定出来ません。冒頭で「もっとゆっくりでも大丈夫」というコーチの声掛けが聞こえるので、クーリングダウンとローパワーを兼ねた10分~20分程度の時間走と予想します。

意地悪キャッチボール[11:08]

GK陣のトレーニングです。バランスクッションに片足立ちをし、メディシンボールでキャッチボールをしています。体幹とキャッチングのトレーニングであると同時に、ゲーム性があるのでレクリエーションを兼ねつつ、特に新加入の上福元にとってはコミュニケーションのきっかけにもなっていそうです。とても良い練習ですね。

まとめ

 始動日ということもあってか負荷を抑えつつ運動量を確保することと、コミュニケーションを密にしていくというところにフォーカスしていたと感じます。
次回以降もこんな感じで各メニューについてコメントしていけたらと思いますので、宜しければご覧ください。また、Twitterや質問箱でチーム名や練習動画のリクエストを頂ければ採用を検討します。最後まで読んで頂きありがとうございました。

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