ゾーン・エリアの呼称③ ディフェンシブサード

 サッカーにおけるピッチのゾーン分けについての記事です。この記事では『ディフェンシブサード』について記載します。

前・中・後3つのゾーン

 サッカーのピッチを区切る方法の1つとして、前線・中盤・後方を3分割する考え方があります。このうち前線を『アタッキングサード』、中盤を『ミドルサード』、後方を『ディフェンシブサード』と言い、それぞれに違った特性を持ちます。今回の記事ではこの3つのうち『ディフェンシブサード』について書いていきます。

50・70・100とは

 サッカーでよく使用する50・70・100という3つの数字を用いた言葉があります。これは3つのゾーンで目指すべきプレイの成功率を示しており、それぞれアタッキングサードでは50%、ミドルサードでは70%、ディフェンシブサードでは100%の成功率を目指すというものです。
しかし当然のことながら実際のプレイ中に成功率を考えてプレイするようなことは無く、選手は全てのプレイを成功させたいと考えて行うでしょう。なので50・70・100は言葉として理解しつつも、より感覚的に理解しておく必要があります。

ディフェンシブサードでの『100』を感覚的に捉えると

 前述の通りディフェンシブサードで目指すべきプレイ成功率は100%、つまりミスが許されないということになります。実際のところミスを完全に避けるのは不可能ですが、少し考え方を変えることでミスを減らすことは出来ます。その考え方とは「プレイ成功の基準を下げる」ということです。一般的にオンザボールにおけるプレイの成功とは、パスを味方に繋げる、ドリブルで相手を抜く、シュートを打つ等ですが、ディフェンシブサードについては「相手に直接ボールを渡さない」くらいまで成功のハードルを下げてしまいましょう。例えばクリアボールをハーフウェイライン付近でカットされるならOKですし、パスを繋げない状況であれば相手ボールのスローインを与えるのはOKです。ディフェンシブサードにおいて1vs1やインターセプト等で相手に直接ボールを奪われてしまうと失点のリスクが非常に高くなりますが、奪われるにしても前述のように敵陣へのロングボールをカットされたり、相手ボールのスローインであればいきなり失点する可能性は低く抑えられます。まとめると「失点に繋がるプレイをしない」ということが、ディフェンシブサードにおける『100』の考え方です。

FWにとってのディフェンシブサード

 ここからは各ポジション毎の考え方について書いていきます。
まずFWについてですが、基本的に全て思い切り前か外に向かって蹴ればOKです。乱暴な言い方になってしまいましたが、その理由としてFWがディフェンシブサードにいるということは絶対に失点だけは避けなければならない場合に限るからですね。CKや壁に3人以上割かなくてはいけないような近距離のFK、試合終了間際の守備固め等が該当する状況ですね。こういった状況では綺麗にボールを奪い切ることや味方にパスを繋ぐことよりも、リスクを避けることの方が圧倒的に優先順位として上です。つまり、ディフェンシブサードでの仕事を意識するというより、FWがディフェンシブサードにいなければならない状況を重要視するということです。
逆に言えばそこまでして失点を避けるべきシーン以外ではFWは極力ディフェンシブサードまで下がらず、前線に残って相手DF陣の脅威となるよう努めるべきでしょう。

MFにとってのディフェンシブサード

 MFがディフェンシブサードに下がる場合は基本的に押し込まれている状況なので、ディフェンシブサードのセオリー通りリスクを避けるプレイをすべきです。しかしMFは一般的にDFと比較してパスワークやキープ力に優れた選手が入る為、出来る限りクリアに逃げずボールを繋ぐ役割を請け負うことでチーム全体を助けることが出来ます。あくまで守備が本分のDFとは違い、リスクを避ける中でもボールを繋ぐ役割を大切にしましょう。ただし『100』の意識だけは絶対に忘れてはいけません。

DFにとってのディフェンシブサード

 ディフェンシブサードで最も多くの仕事を行うのがDFです。相手の攻撃を最終局面で食い止め、ボールを奪ったらリスクを避けつつ前方へ繋ぐことを試みます。オンザボールでのプレイは基本的にディフェンシブサードでのセオリーに倣うので、余裕がある時はパスを繋ぐ、もしくはスピードを抑えたドリブルで運ぶ。少しでもミスの可能性を感じる時は前か外に蹴り出すということですね。ディフェンシブサードでは判断の遅れが致命的な失点に繋がってしまうので、ボールを持った時だけではなくボールを奪う時の状況を意識出来るようにしましょう。例えばインターセプトであれば相手を外した状態で奪い切れるのでミドルパスを選択肢に入れる、1vs1であれば相手が至近距離にいる為素早くショートパスをするかクリアに逃げる、浮き球であればボールを落としてしまうとイレギュラーバウンド等による入れ替わりが怖いのでコントロールがアバウトになってでも出来るだけ高い位置で処理する等です。

ディフェンシブサードを意識したトレーニング

  ディフェンシブサードでの動きが向上するトレーニングの代表例を挙げておきます。

ロンド5vs3(鳥かご)
 ロンドの中でも長さと向きのある5vs3により、フリーマンを探す訓練をしつつ遠くを見る癖をつけます。

6ゴールゲーム
 3つのゴールを守らなければならない守備の練習と共に、ポジティブトランジション時にスペースを探す力を養います。特に両サイドのミニゴールはサイドで奪った際に素早く縦パスを入れる練習として非常に有効です。
 

Follow me!