練習を読み解く(ヴィッセル神戸:2023/01/27)
今回は神戸のキャンプ動画を見ていきます。神戸は前回同様に複数日を合わせた動画となっており、今回はDAY15-17です。
ウォーミングアップ①[0:51]
掲載されているのはごく短い時間のみですが、ステップを踏んでからのダッシュで身体を温めています。
円陣ロンド[0:58]
円陣パスとロンドを組み合わせたような練習です。一見するとオニ2人に対して多人数でボールを回しており簡単そうに見えますが、近すぎる多すぎるというのも迷いやお見合いを誘発し難しいもので、コミュニケーションが要求されます。
5vs2ロンド[1:11]
5vs2のロンドそのものはメジャーな練習メニューですが、あえて非常に大きなグリッドで行っています。オニの運動量を増やす意図もあると思いますが、どちらかというとダイレクト限定で強いパスを意識させる目的のほうが強いのではないかと思います。
ゴールキーパー練習①[1:32]
ポールを使用したステップワークからのセービングは基本的な練習ですが、その後の練習が面白いです。
寝かせたポールの端を2人が踏むように立ち、サーバーとGKがポール越しに向かい合います。サーバーは速いゴロのボールを蹴り、股下を通ったり、足やポールへのディフレクションでコースが変わるボールをGKがセーブしています。前回の記事でも神戸はディフレクションを意識したGK練習をしており、実戦的なメニューを作る工夫が見られますね。
ダッシュ[1:58]
所謂素走りなのですが、意図を読み解くのが難しい練習です。6、7割程度のペースで60m程度の距離だと思うのですが、本数や全力でない意図がこの映像だけでは読み取れませんでした。また、参加している選手が4人だけというのも気になります。
体幹トレーニング[2:23]
マットとストレッチポールを使用した柔軟性と体幹を鍛えるトレーニングです。一見簡単そうですが、体幹で姿勢を作りつつストレッチポールに触れている末端部の力を抜くのは結構難しいです。しかし身体の使い方というのは力を抜くことと出力を上げることが直結しているので、これも学ぶ程に奥が深いトレーニングになります。
この練習も全体練習ではなさそうなので、先程のダッシュやこの後に掲載されているエアロバイク等も合わせ、限られたメンバーの課題練習もしくは自主参加のメニューなのでしょう。
ゴールキーパー練習②[4:13]
これも全体練習の時間外と思われます。緩い雰囲気でのパス練習ですが、あえて強風のタイミングを選んで感触を確かめているような印象を受けました。神戸のGK練習メニューは一貫して基礎技術と実戦に寄せる工夫ですね。
ウォーミングアップ②[10:05]
ここから翌日の練習です。ミニハードルを使用した動的ストレッチ等で身体をほぐしています。
5vs2ロンド[10:40]
前日と同じ5vs2のロンドですが、この日のグリッドは通常のサイズ、タッチ数はダイレクト限定です。神戸は前回の動画から4vs2と5vs2のロンドを使い分けているのですが、何を意図しているのでしょうか。少し気になりますね。
ウォーミングアップ③[11:14]
ここから午後練習ですかね。改めて動的ストレッチとラダーやポールを使用したステップワークで身体を温めています。他のチーム同様に、神戸も非公開の範囲が増えているのを感じます。
2vs2+2[11:54]
ミニゴールを向かい合わせ、両サイドにフリーマンを置いた2vs2です。ミニゲームというよりは向きをつけたロンドと言う方がしっくりきますね。フリーマンはダイレクト限定ですがシュートも打てるルールでやっているようです。となるとポイントは角度と距離感ですね。
中のOF2人があまり開くとフリーマンが近過ぎてシュートチャンスを作れない、絞りすぎるとお互いのコースを潰してしまう。前後に離れ過ぎるとシュートコースが消え、真横に並ぶと選択肢が減り3人目の動きも難しくなる。
フリーマンもあまり前で受けるとシュートコースが消え、後ろ過ぎると角度が無くなり選択肢が減る。
少人数ながら考えることや微妙なポジショニングを要求するやればやる程に難しさが分かるハイレベルな練習だと思います。
全体を通して
前回に引き続き複数日の練習が掲載された動画ですが明らかにボリュームが減っており、神戸も開幕に向けて非公開練習が増えていることが分かります。その中でも工夫が見られる面白い練習が入っているのは記事を書く側からすると有り難い限りです。特に前回に引き続きディフレクションを意識したGK練習が入っていたのは良いですね。知れば真似してみようという現役GKや現役指導者の方も多いのではないでしょうか。それから最後の2vs2+2も考えさせる良い練習です。こういうメニューがあると記事にも力が入りますね。次回はまた別のチームの記事を書く予定ですが、神戸の練習動画についてはまた記事にする機会があると思うので、その時を楽しみにしています。