練習を読み解く(鹿島アントラーズ:2023/1/31)
今回は鹿島の練習のキャンプ後初練習を見ていきたいと思います。
対面パス&ゴー[0:38]
GK陣のウォーミングアップとして行っているようです。FPの練習としてメジャーですが、ランを交えて少人数で採用出来るのでGK練習としても機能します。
ウォーミングアップ[0:51]
FPのウォーミングアップです。動的ストレッチからステップワーク、その後にスクエアパスですかね。
6vs6(+2)4ゴールゲーム[1:35]
最後尾のつなぎ役としてGKを入れての4ゴールゲームです。以前湘南の記事で書いた内容と同じく、ビルドアップのトレーニングと思われます。GKの守備範囲(中央)へのロングボールに頼らず、左右どちらかのサイドあるいはハーフゾーンへの縦パスをゴールに置き換えた練習ですね。
湘南と違うのはフリーマンが両サイドのライン外に入っていることですね。ただあまり意識的に使っているようには見えないので何かしらの追加ルールがあるのでしょうか。そもそもビルドアップを意識したトレーニングであれば大外にフリーマンを置く意味は無いですし、センタリングからゴールを狙うのもこの練習の趣旨から外れる気がしますね。理由があるとしたらファーストDFに縦を切らせたいという可能性はありそうですが、この日の練習映像だけでこの練習の意図を正しく予想するのは難しそうです。
ゲーム内容を見ると守備強度は十分ですが浮いたパスやパスカットが目立つので、組み立て局面の精度はまだ途上といったところでしょうか。これについてはキャンプで守備強度が優先されていたように感じていたので、現状では納得出来る範囲かと思います。
ハンドボールパス[3:43]
ここから午後の練習です。攻守におけるくさびと裏抜けの駆け引きを鍛えるトレーニングです。攻撃側に足でのコントロールを要求しないので、動き出しとタイミングのみに絞ったトレーニングが出来ます。非常に楽しそうな雰囲気ですが、何故出てこなかったのか、何故出てきたがカットされたのかを本気で考えると思いのほか奥深い練習となります。
ゴールキーパー練習[4:48]
ランを入れてのセービング練習です。サーバー側が見えない角度かつ短い時間だったので、詳細については分かりませんでした。
4vs4vs4 多色ロンド[5:07]
4人×3色の多色ロンドです。1チームがDFとなり2チームがパスを回します。奪われたチームがDFになるので味方が変わる時の判断や声掛けが重要です。単に予定通りのメニューだったかもしれませんが、キャンプからこの日行った4ゴールゲームまで、パス回しが基準に達していないのを鑑みて取り入れたメニューかもしれません。前回のトレーニングマッチやここに至る練習の内容から、多色ロンドというメニューの選択は非常に納得感がありますね。
7vs7+GK ゲームトレーニング[6:13]
引きの映像が無いので人数は間違っているかもしれませんが、ハーフコートより小さい程度のゲームトレーニングです。編集されているのであくまで見える範囲ではとなりますが、やはり他のトレーニングと同じく攻撃より守備のほうが上手く行っている印象を受けます。ただこれについては同じチーム内でやっている限り守備が良いのか攻撃が悪いのかは分かりません。とはいえGKからのパスを引っ掛けたり、FWが前を向いた状態で攻撃が滞るシーンがあることから、私の目には攻撃面に課題を抱えているように見えます。ボールが回らなすぎても練習として微妙なので、現時点の鹿島だとフルコートを使用しないゲームトレーニングでは1人か2人のフリーマンを入れたほうが良いようにも思います。
全体を通して
前回の記事で「強く!速く!激しく!」をテーマにキャンプに取り組んでいるのであればその成果はバッチリだと言える」と書いた通り、強度を中心に守備面の構築は順調ながら、攻撃面の課題を抱えて鹿島に戻り、4ゴールゲームでのビルドアップ向上やハンドボールパスで縦パスのタイミングを調整しているのではないかと感じました。この時点ではまだ開幕まで2週間以上ありますし、十分に攻撃戦術の構築は可能だでしょう。強度面の充実からキャンプで身体作りは順調だったように見えるので、ここから戦術面を急ピッチで仕上げていくというプランは十分に成立性があるかと思います。鹿島については開幕までにもう少し練習を見ていきたいですね。